ハイエンド=快適 の時代は終わった
スマホが出始めた頃はほぼ全てのスマホが同じチップセットを採用し、スマホは一律して高価な物でした。
ですが、ここ数年で多くのスマホ向けチップセットが開発され、性能を抑えた分チップセット自体の価格も抑えることで、低価格で発売されるモデルも多くなりました。
ミドルレンジ向けスマホは性能を抑えることで低価格を実現しているので、快適に使うのであればハイエンド機種を購入するというのがスマホの常識となっていました。
ですが、Googleが発売したPixel 5とPixel 4a 5Gで採用したのはミドルレンジ向けCPUのSnapdragon 765Gでした。
今まではハイエンドモデルには8xxシリーズ、ミドルレンジには6xxか7xxを採用してきましたが、今回は全てのモデルで765Gを採用しています。
つまりAndroidを開発するGoogleは「ハイエンド=快適」という常識は終わったと言っているのではないでしょうか?
Googleも765Gを採用したことに関して問い合わせたメディアに対して「最高の体験を全ての人に提供する」というモットーに沿うような形にしたと言っており、むしろこれが正しい姿だと感じました。
AIチップ「Pixel Neural Core」は非搭載に
PixelといえばGoogleのAI技術をフルに活用できるのも特徴の一つで、過去に発売したPixel 3シリーズに搭載されていたAI処理専用チップである「Pixel Visual Core」や、Pixel 4シリーズに搭載された「Pixel Neural Core」などのAI処理専用のチップも特徴の1つでしたが、今回のPixel 5とPixel 4a 5Gには搭載されていません。
Pixel 4a 5Gに関しては廉価シリーズである”a”シリーズなので、搭載されていないのに特に違和感はないのですが、ハイエンドという位置付けのPixel 5にも搭載されていません。
これに関してはSnapdragon 765Gでも十分な処理速度と精度が得られたからとしています。
このチップはGoogleが設計しているカスタムチップなので、コストが掛かっていたと思うので、コスト削減としてはかなり有効に働いたと思います。
Snapdragon 765Gで十分に処理できるとGoogleはいっていますが、AIチップなしでの写真がどこまで綺麗に処理できるか・・・というところには注目ですね。
外観
データ移行はスマホ同士を接続するだけ
データ移行はケーブルでスマホ同士を繋ぐだけである程度やってくれます。
一部移行ができないアプリなどもありますが、繋げば勝手にほとんどの設定を移行してくれるのは便利なところ。
ちなみにアプリ以外にもWi-Fiや着信音、アラームの設定なんかの細かい設定も引き継いでくれます。
手動で引き継ぎを行う必要があるのはゲームアプリやSuicaやiD、QUICPayなどのおサイフケータイの電子マネー類やLINEのトーク履歴ぐらいでした。
あとはログインする系のアプリはログインし直しですが、Googleアカウントは勝手に引き継がれるので、GoogleアカウントにアカウントのIDとパスワードを記憶させている人はアプリを開いてログインボタンを押すぐらいです。
この辺りの移行機能は大体どのスマホでもありますが、やはり便利ですねー!
カメラの実力は?
Pixel初となると超広角+広角の組み合わせは気になるので作例として色々試してみました。
超広角レンズで迫力のある写真を撮れます。
解像感はそれほど高くないですが、かなり画角が広いので風景を撮る時はかなりいいですね。
広角レンズでの撮影は今までもできましたが、適当に撮っても綺麗に撮れるのはGoogleのAIパワーと言ったところでしょうか?
2倍ズームだと劣化はほとんど感じられません。
レンズとしては広角(1倍)と超広角(0.6倍)しか搭載していないのでデジタルズームのはずですが、AIパワーでの補正が効いていますね。
最大倍率までズームすると流石に劣化を感じますが、それでもAI補正のおかげか文字などは読むことができます。
高倍率できれいに撮影するのは難しいですが、合格点ぐらいはあげられる画質ではないでしょうか?
静止画より動画の方が進化したか?
静止画に関しては期待通りという、Pixel 3 XLを使っていた筆者としてはそれほど大きな驚きはありませんでした。
もちろん進化しているのですが、順当な進化だなぁという感じ。
ですが、動画機能はかなり進化したという印象でした。
iPhoneが映画撮影などにも使えるようなプロ仕様な感じになりましたが、Pixelはズーム時のブレを抑える機能や、ちょっとしたおしゃれ映像が撮れるシネマティックパンなどの普段使いに寄り添った進化となりました。
iPhoneだけで映画が撮れるという風にAppleは言っていましたが、iPhoneがシネマカメラとすればPixelは便利なデジカメという感じの進化です。
正直iPhoneほどの高クオリティな映像は撮れないと思いますが、普段使いを突き詰めて作ったカメラという感じの印象を受けました。
動画モードでは手ブレ補正のモードを「標準」「ロック」「アクティブ」「シネマティック撮影」から選ぶことができ、通常の動画撮影からちょっとシャレた映画チックな撮影まで標準カメラアプリで可能です。
特にロックモードは便利で、「2倍以上にズームした状態で撮影開始時にカメラに捉えていた被写体を画角の中に収め続ける」というモードです。
手ブレ補正があっても遠くの被写体を写そうと思うとどうしてもブレが気になりますが、PixelではAIパワーを活用してデジタル的な処理で手ブレをなくしてくれます。
望遠レンズを搭載していない=遠くの撮影は弱いというのは間違いではないのですが、望遠レンズを搭載していたとしても遠くの被写体をブレなく撮れるかは別の話です。
そういった日常的に使うであろうところを充実させているのはかなり好感が持てます。
動画の解像度面でいうと“4K 60fps”での撮影に対応しているので、とりあえず高画質に撮影しておいてあとからトリミングするという使い方もできると思います。
ワイヤレス充電、90Hzディスプレイは必要か?
ここまでこの記事を読んでいる人の中にはPixel 5とPixel 4a 5Gどちらにしようかな?と悩んでいる人も多くいると思います。
正直、筆者も発送される直前まで悩んでいました。
発送される前ならキャンセルしてPixel 5を選ぶこともできたので、Pixel 5とPixel 4a 5Gの差額である”14,300円”を払うべきかどうかで悩みました。
結果、筆者の使い方にはPixel 4a 5Gで十分でした。
というのもPixel 5とPixel 4a 5Gのスペックには差がなく、違いといえばワイヤレス充電、ワイヤレス給電、90Hzディスプレイ、イヤホンジャックの有無だけです。
Pixel 3 XLを買った時にGoogle純正のワイヤレス充電器Pixel Standも購入していますが、Pixel Standで充電しすぎたせいかバッテリーが膨張してしまったので、今回はワイヤレス充電は不要と感じました。
イヤホンジャックに関しては特に必要ないですが、あればそれはそれで便利なので、むしろプラス。
90Hz液晶に関してもfpsを重視するようなスマホゲームをする予定もありませんし、ゲームをするならiPad Proを使うので不要。
つまり、多くを望まない一般的なユーザーにとって必要な機能だけを詰め込んだのがPixel 4a 5Gと言えそうです。
どっちを買うか悩んでるみなさんは上で書いたワイヤレス充電、90Hzディスプレイ、イヤホンジャックを基準に考えてみてください。
Snapdragon 765Gは十分で不十分
今回のPixelではハイエンドの位置づけであるPixel 5とミドルエンドの位置づけであるPixel 4a 5Gの両方でSnapdragon 765Gが搭載されています。
Snapdragon 765Gはミドル向けのグラフィック強化版CPUで、それほどパワフルではありません。
今までのPixelではPixel 3やPixel 4といったハイエンドモデルにはSnapdragon 8xxシリーズ、Pixel 3aやPixel 4aといったaのついたミドルエンドモデルにはSnapdragon 6xxや7xxシリーズを搭載すると言った風にCPUで差をつけていましたが、それが必要なくなったということです。
PixelがPixelであるための基礎的な機能はすべて、ミドルエンドCPUのSnapdragon 765Gで事足りるようになったということですね。
これは純粋にGoogleの頑張りだと思いますが、ゲームなどのスペックを要する作業にはスペック不足を感じます。
特に3Dを多用するゲームやLive2Dを多用するゲームでは、多少のカクつきを感じる場面もありました。
大多数は満足できる、万人受けする5Gスマホ
5Gの実用化が進む日本ですが、まだまだ5Gに対するハードルは高いのが現状です。
技術的な問題はもちろん、サービス提供エリアがまだまだ狭いことや、健康被害を懸念する声など様々な要因はありますが、その1つに「5G対応スマホが高い」という問題もあります。
日本でのシェアが高いiPhoneもそうですし、Androidの中でも人気なGalaxyやXperiaなどの機種でもまだまだ高いのが現状です。
そんな中、Androidのリファレンス機とも言えるPixelが、5G対応で60,500円で買えるのはかなりお得だと思います。
Pixel 5とPixel 4a 5Gは「大多数は満足できる、万人受けする5Gスマホ」になる予感がします。
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